母にできること、父にしかできないこと。
藤原和博
杉並区立和田中学校の元校長であり、株式会社リクルート時代はスーパーサラリーマンとして有名だった藤原氏の日記風随筆集。藤原氏は、子どもとの関わりの中で、自分が「父性」だと信じて振りかざしていたものが、子どもの自然な思考プロセスを寸断してしまうことや、自分自身が時代や世の中の価値観に呪縛されていたことに気付きます。誰もが認めるスーパーサラリーマンでさえ、子育てをきっかけに自分の過ち、価値観を改め、社会の変なところに気付いていく様子が自己開示されています。同著者の『父性術』を改題したもの。
◎グッきたひと言...「父というものは自分たちの父親のまねをして子どもに常識を押しつける性ではなくて、子どもとともに常識をくつがえしていくほうの性ではないか。(中略)父らしくすることによって父になるのではなく、もっと子どもっぽく、常識と思われているものに「なんか、変だなあ」爆弾を投げつけてしまうこと。そのことによってこそ、父となりうる存在なのではないだろうか」(本の最後のページで)